TCFD提言への取り組み

当社グループは、地球温暖化をはじめとする気候変動に関するリスクと機会を重要な経営課題と認識しており、2023年1月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」※への賛同を表明いたしました。
今後さらにTCFDのフレームワークに基づき、「ガバナンス」「戦略」「リスクマネジメント」「指標と目標」を含む項目について情報開示を進めるとともに、事業活動を通じた持続可能な社会の実現への貢献と新しい価値の提供を進めてまいります。

TCFD

※気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD):

G20の要請を受け、国際金融に関する監督業務を行う機関である金融安定理事会(FSB: Financial Stability Board)が2015年に設立したタスクフォース。2017年6月に公表された最終報告書では、企業から投資家への気候変動に関する情報開示の推奨や、開示の際の枠組みを提言している。

ガバナンス

当社グループでは、代表取締役社長を委員長とする「グループコンプライアンス推進委員会(1年に2回以上開催)」を取締役会の直轄組織として設置し、気候変動リスクを含めたサステナビリティに関する重要課題を審議しています。
また、同委員会は審議内容を取締役会へ上程し、取締役会での審議を経てグループ各社へ展開しています。

気候変動対応に関する具体的な取り組みとしては、TCFDへの賛同を表明したほか、2023年からは、グループコンプライアンス推進委員会の下部組織として、「気候変動対応分科会」を組成しました。
同分科会では、温室効果ガスの測定、再生可能エネルギーの活用などによる削減策の検討、実施およびTCFDのフレームワークに基づいた情報開示を行うことで、企業の社会的責任を果たしていくことを方針としています。
また、2024年からはサステナビリティ推進部門を設置し、モニタリング機能を強化することで、さらに気候変動対応を含めたサステナビリティ活動の実効性を高めてまいります。

ガバナンス組織図

戦略

年々深刻化する気候変動を受けた世界的なカーボンプライシングの加速や再生エネルギーへの関心の高まり、EV(電気自動車)へのシフトなど、当社グループの事業を取り巻く状況は著しく変化しており、これらへの対応は喫緊の課題となっています。

当社グループは、上記のような外的変化が事業に与える影響を多角的に予測するべく、国際基準のリスクシナリオを参考に、各シナリオの前提において想定される事業リスクや機会、対応策を検討しました。具体的には1.5℃シナリオ、2℃シナリオ、4℃シナリオの3つを選定しています。
各シナリオの詳細と、それぞれのシナリオ分析で使用した国際基準は以下の表に記載しています。

リスクと機会

当社グループでは、環境情報開示の国際基準の1つであるCDP気候変動質問書の「リスクと機会」の項目に沿って、国内外のグループ各社で想定されるリスクと機会を特定しました。

主な内容として、財務上の潜在的影響額、リスク対応や機会の実現にかかる費用などを算出し、時間軸は短期(1~3年)、中期(3~9年)、長期(9年以上)で分類しました。
また、事象の発生確率と影響度をそれぞれ3段階で評価し、この2つのスコアを掛け合わせ、重要性を大・中・小の3段階で算定しました。各事象の重要性を踏まえ、それぞれのリスクと機会への対応策を当社グループで検討しました。

主なリスクと機会、対応策は以下の一覧表にまとめています。

主なリスク

対応

重要性

1

再生可能エネルギーへの切り替え加速による、間接費の増加

  • ・温室効果ガス排出量算定と削減活動の推進
  • ・一部社用車をHV/PHEV/BEVへ切替
  • ・オフィス照明の省エネ化

2

炭素税導入による部品および原材料のコスト増加

  • ・サプライヤー、顧客との相互協調によるサプライチェーン全体の再エネ活用比率拡大
  • ・原材料費高騰に備え、製造コスト低減、計画的な設計変更による原価低減

3

環境取り組みと訴求の不足によるステークホルダー・消費者からの不支持

  • ・気候変動対応の積極的な推進と外部への発信(TCFD提言に基づく情報開示、CDP気候変動質問書への実施内容反映等)
  • ・CO2削減目標の策定および取り組みの推進

4

猛暑日の増加による熱中症リスク増加

  • ・オフィス、生産拠点の空調設備改善
  • ・環境体験学習施設への給水器設置

5

自然災害による自社工場の稼働停止、従業員のアクセスの寸断

  • ・BCP対策の強化、防水工事
  • ・生産拠点の分散化

主な機会

対応

重要性

1

低炭素排出量製品の需要拡大

  • ・環境配慮型製品の開発・販売・サービスの推進
    (空調効率に配慮した自動ドアセンサー、AIを活用した外観検査ソリューション、自動化に貢献する産業用センサー)

2

省エネ製品の要求加速

  • ・軽量化、消費電力削減製品の開発、販売強化
  • ・生産性向上に繋がる高性能製品の拡販

3

EV電池の需要拡大による新市場への参入

  • ・EV市場への新製品投入
  • ・EV電池製造装置の拡販

4

再エネ製品(太陽光パネル、EV電池等)の需要拡大による高精度な検査の需要拡大

  • ・工場自動化用センサー・画像検査用LED照明の拡販

5

豪雨の慢性化による防災対策関連の需要拡大

  • ・冠水モニタリングシステム、災害予知保全システム、災害時点検用ロボットなどの開発、拡販

リスク・機会の重要性

事象の発生確率と影響度を基に、重要性を大・中・小の3段階で評価し、右記のマップに反映しました。

リスクマネジメント

当社グループでは、取締役会の管理・監督の下、グループの横断的なリスク管理体制として、代表取締役社長が委員長を務める「グループコンプライアンス推進委員会」を設置し、気候関連を含めた事業に関わるリスクマネジメントを推進および統括しています。

グループコンプライアンス推進委員会は、1年に2回以上、リスクの特定と評価を実施したうえ、必要に応じてリスクマネジメントの包括的な見直しを行っています。また、特定したリスクと評価の結果は「リスクマップ」に明記し、対応方針と合わせて取締役会に諮った上で全グループに展開しています。

指標と目標

当社グループは、中長期目標として2030年度までにCO2排出量(スコープ1・2)を30%以上削減(2019年度比)することを定めています。この目標の達成のために、従業員の理解と意識向上に向けた取り組みをはじめ、自社の設備や運用の見直しによる排出量の削減に取り組んでいます。

また、政府発表の2050年カーボンニュートラルの方針を受け、グループ全体での温室効果ガス排出量実質ゼロの達成に向けた削減計画の検討も進めてまいります。

温室効果ガス排出量(スコープ1+2)

温室効果ガス排出量(スコープ1+2)
  • ※2019年度から2022年度の数値変化の要因
    2021年度からサンリツオートメイション(株)を追加。
    2022年度からミツテック(株)を追加。
    2022年度実績にはサンリツオートメイション(株)、ミツテック(株)の合計CO2排出量312tCO2を含む。

補足:スコープ3への取り組み
当社グループでは環境配慮型製品を提供し、ご採用いただいたお客様の企業活動を通じて温室効果ガス削減に大きく貢献できると考えています。
環境負荷低減に関する取り組みの詳細は、以下のリンクからご覧いただけます。

OPTEX